Show Your Hand!!

本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2009-01-01から1年間の記事一覧

キープ・ザ・コズミック・トリガー・ハッピー

うーん、やっぱりいまって夏なんだな!って、あたりまえのことをようやく実感しつつある。それは朝のバス停で蝉の鳴き声を聞いたから、照りつける昼の日差しのなかでじっとりとした空気を吸い込んだから、夕方にどしゃぶりの雨に降られたから、日曜にサマソ…

『紫色のクオリア』/うえお久光

ラノベ好きな友人がこれおもしろいよー、って言って貸してくれた一冊。渡された本の表紙を見て、まじかー、ちょっときついかな…とおもい、タイトルからはもじゃもじゃ頭の脳科学者の顔がおもい浮かんで、俺、きっとこの本と相性よくないよ…なんておもったの…

火を失うとはこういうこと

きょうは8月から大阪行きが決定した人たちのためのいってらっしゃい会、ってことで、月曜だというのにずいぶんと飲んでしまった。同期のみんなと話していて、やっぱりここに長くいるわけにはいかない、がんばって脱出しようぜ、と決意を新たにしたのだったけ…

『レスラー』

新宿テアトルタイムズスクエアにて。すっごくいい映画!ドキュメンタリーっぽい映像で映し出されるひとりのレスラーの生きざまやその感情があまりにリアルで、本当に胸が詰まった。これはみんな泣いちゃうよなー。プロレスラーであること、ってちょっと特殊…

『ザ・ロード』/コーマック・マッカーシー

何らかの理由によって破壊しつくされ、荒廃しきった近未来の世界を舞台に、父と少年、2人のあてのない旅のようすが描かれる。マッカーシーの小説ってわりと宗教的っていうか、神とか運命のような人知を超えたところにある力について触れられていることが多い…

『流れよわが涙、と警官は言った』/フィリップ・K・ディック

タイトルのかっこよさに負けず劣らず、内容もじつに素晴らしいディックの74年作。ある朝、TVスターの男(ジェイスン・タヴァナー)が目を覚ますと無名の一般人になっていた、っていういかにもSF的な世界の話であり、その男を追う警察本部長(フェリックス・…

『パリ、テキサス』

DVDで。高校生のころにはじめて見て以来、自分のなかで最高の映画のひとつであり続けてる作品で、もう何度も何度も見ているわけだけど、ひさびさに見てもやっぱり素晴らしかった!とにかく全編通して隙がない、って言っていいくらいに映像が美しく、とても静…

『移動祝祭日』/アーネスト・ヘミングウェイ

パリで過ごした若かりし日々のことを回想しつつ綴った、ヘミングウェイの遺作エッセイ。奥さんとつつましいながらも幸福な暮らしを送っているようすや、パリの街の描写がもうひたすらに輝きまくっていて、とにかく眩しいとしか言いようがない一作だ。

『1Q84 BOOK1・BOOK2』/村上春樹

読み終わってからもうほとんどひと月が経つのだけど、どうにもうまく感想がまとまらなくて、日記に書くことができないでいた。でもそろそろ何か書き残しておかないと忘れてしまうかもなので、とにかくがんばって何かしら書いてみることにする。あるいはこの…

『君は永遠にそいつらより若い』/津村記久子

芥川賞作家、津村記久子のデビュー作。序盤は卒業をひかえた大学4年生の冴えない女子、ホリガイのゆるい日常が冷めた言葉でつづられていく感じなのだけど、中盤以降はリストカット、虐待、自殺などなどヘビーな問題が次々に浮かび上がってくるようになる。俺…

『多読術』/松岡正剛

会社に入ってからというもの、なかなか本が読めなくていらいらしていた。忙しくて時間がぜんぜんない、っていうわけじゃないのだけど(時間はつくればいい)、気持ちがどうにも読書のほうに向いていかないような感じで。でもやっぱり、長いあいだちゃんと本…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』

吉祥寺バウスシアターにて。いやー、前評判をなんとなく聞いてはいたけど、たしかにこいつはすごかった!前作『序』はTV版のていねいなリメイク、リマスターって感じだったけど、今回はもはやリメイクっていうかなんていうか、もうもうかなり感触の違う、斬…

豊田道倫@新宿シアターpoo

土曜日。狭くてレトロな新宿シアターpooにて、豊田道倫のライブ。俺はここの狭さ、暗さが結構すきだ。大きなハコよりも、音楽聴きに来たんだなー、って気分が高まるような気がする。この間のレコ発は行き逃してしまったので、今回聴きに行けてよかった。ギタ…

『老人と海』/アーネスト・ヘミングウェイ

なんとなくヘミングウェイの文章が読みたくなって、実家から持ってきた文庫を開いた。もともとは親父の本なのだけど、妙なところに鉛筆で線が引いてあったりなんかして、ちょっとたのしい読書だった。 文章はあくまでもハードボイルドで、つまり登場人物が自…

『ミルク』

吉祥寺バウスシアターにて。見たのはもう1か月くらい前のことなんだけど、なかなかよかった。1970年代アメリカで、ゲイであることを初めて公言して一大ムーブメントを引き起こした政治家、ハーヴェイ・ミルクの姿を描いた作品。話そのものも構成もごく…

『チョコレート・ファイター』

新宿ピカデリーにて。こいつはまじですごかった!とにかくアクションで魅せまくる映画で、キレキレな身体の動きに俺はすっかり夢中になってしまった。ストーリーなんかはもうほんとにどうでもいい感じなんだけど(ちょいダーク目なのが難と言えば難かも)、…

『スラムドッグ$ミリオネア』

新宿武蔵野館にて。ようやく見れた。前評判どおりの、ポジティブで肯定的な力を持った映画だった。正直言って、ほんとに後半になるまでは、期待していたほどすきな感じじゃないなー、なんておもっていたのだけど、でもやっぱり最後の問題が出題されたときに…

湯川潮音×土岐麻子@東京グローブ座

12日、新大久保にて。まじで素晴らしかった…!グローブ座の小さな会場とあいまって、とても親密な空気に満ちた2時間だった。 湯川潮音 やっぱり湯川潮音の歌声はすごい!!っていうのが第一印象にして一番の感想。圧倒されるほどに美しくて、もうとにかくう…

エヴリタイム・ウィ・セイ・グッバイ

日曜日。8時半頃に目が覚めた。最近おかしな夢ばかり見ているせいか、夜のあいだにかく汗の量が尋常じゃないのだけど、きょうも寝巻用のTシャツはぐしょぐしょになっていた。もぞもぞとベッドから這い上がり、シャワーを浴びて嫌な汗を流す。曇ってはいるけ…

『カツラ美容室別室』/山崎ナオコーラ

ひさびさに本棚を整理していたら出てきた『文藝』の2007年秋号に掲載されていたもの。もういまでは単行本も出版されている。見つけた『文藝』はぱらぱらっと見てすぐに捨ててしまうつもりだったのだけど、予想外に気に入ってしまって、つい一息で読んでしま…

Deerhunter@渋谷o-nest

ひさびさに行ったライブは、新世代シューゲイザーバンドのDeerhunter。俺は相変わらず風邪をひいていて熱もあったけど、友人と会社からダッシュで渋谷に向かって、なんとか当日券をゲットして見ることができた。 ライブが始まってまず衝撃だったのは、ボーカ…

アイ・マイト・ビー・ロング

5.26 火曜日。朝目覚めると身体の節々が異常に痛い。やばっ、とおもって起き上がると頭も痛い。どうやら完全に風邪だ。運悪く薬がなにもないので、ふらふらしつつも気合で家を出る。きょうの研修はゆるゆるだったから助かったのだけど、ちゃんと栄養をとらな…

ハング・オン

5.23 土曜日。まったく、今週はむちゃくちゃハードだった。会社の研修の詰め込みっぷりは本当に容赦ないとしか言いようがなくて、毎日9時10時とかまで残って勉強してやっと、という感じだったし、家に帰ったら帰ったで、しばらく距離をおくことにしよう、っ…

『マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン Loveless』/マイク・マクゴニガル

いわゆるシューゲイザーの名盤として有名な(そして文句なしに最高な!)、my bloody valentineの『Loveless』についての一冊。会社の同期で、マイブラに心酔している友人から貸してもらったんだけど、なかなかおもしろく読めた。 なにしろあのマイブラなの…

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

渋谷シネマライズにて。エミール・クストリッツァの新作!!ってことで、本当にむちゃくちゃ期待して見に行ったのだけど、うーん、まあまあってところだったかなー。 とはいえ、俺の場合はクストリッツァの作品に対する期待値が大きすぎるからそんな反応だっ…

間違った時代に生まれても

保坂和志は『途方に暮れて、人生論』のなかで、こんなことを書いている。 人生とは本質において、誰にとっても、「遅く生まれすぎた」か「早く生まれすぎた」かのどちらかを感じるようにできているものなのではないか。つまり、個人が人生において直接経験す…

かきのきのてっぺんでひとり

金曜の夜から風邪をひいていて、いまだに治らない。土日をベッドのなかで過ごし、きょうは会社なので無理やり行くも、ふらふらしてしまってまるで頭が働いておらず、やばいなー頭痛いなーとおもっているうちに就業時間が終わっていた。夜は家に着くなり眠り…

『カウント・ゼロ』/ウィリアム・ギブスン

カウント・ゼロ (ハヤカワ文庫SF)作者: ウィリアム・ギブスン,黒丸尚出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1987/09メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 69回この商品を含むブログ (35件) を見る『ニューロマンサー』に続く、スプロール3部作の2作目。『ニューロ…

『ニューロマンサー』/ウィリアム・ギブスン

「サイバースペース」ってことばを発明したウィリアム・ギブスンの長編第一作目にして最も有名な作品。以前読んだときは、あまりの文章のわかりにくさに途中でくじけてしまったのだけど、短編集『クローム襲撃』を読んでから再挑戦してみると、わりにスムー…

『チェンジリング』

吉祥寺バウスシアターにて。うーん、よくできている映画には違いないのだけど、個人的にはあまり響いてこなかった気がする。わりと周囲では高評価だったけどな…。 1920年代のL.A.で起きた事件をもとにした、公権力とある個人との戦いの物語、っていうのをベ…