2008-01-01から1年間の記事一覧
やっぱりマッカーシーの小説は圧倒的におもしろい!読点やかぎ括弧のない硬質な文章がとにかくかっこよくて、そうそう、小説を読むよろこびってまずはこういうところにあるんだよなー、なんておもいつつ読んだ。今作にも、マッカーシー作品の特徴、すなわち…
8.23 雨。ここ数日、急に涼しくなってきていて、夏の終わりって感じがさびしい。8月中にやりたいこととかいろいろあったはずなのに、おもっていたのの半分くらいしかできていなくて、少し焦る。読まなきゃいけない本が相当たまっているいるのに、本屋で『た…
小説にはよく、“痛い”描写っていうのがあるじゃない。精神的とか、気分的に痛いって意味ではなくて、ごく物理的に傷つけられて痛い、っていう、そういうのの描写が。小説における身体感覚っていうのは描写のリアリティとかに関連してくるのだろうけど、優れ…
最近出た改訳版。ハヤカワ文庫では中篇が3作収録されていたけど、この本にはいちばん有名なひとつ目の作品だけが収められている。いま改めて読んでみても、素直にいい小説じゃんっておもえた。人間の少女とエイリアンとの友情、そしてその先に待ち受ける切な…
親友ディーンにひっぱられるように北アメリカ大陸を何度も往復する作家、サル・パラダイスの旅、というか放浪の物語。文章の持つリズムや熱、前のめり感、全力をふりしぼってる感がすばらしくて、冒頭からぐっとひきこまれて読んだ。全編通してとにかくテン…
ひさびさ(何年ぶりだろう?)の黒田硫黄の新刊。あたらしい作品が読めるってヨロコビに心中震えつつ、集中力をきわきわに高めて読んだ。あいかわらず黒田硫黄は本当におもしろい。ひとコマひとコマ追っていくのがとにかくたのしくて、ときどきページから顔…
8.16 家にこもってひたすら本読み。夜までかかって、『オン・ザ・ロード』を読み終えた。しかしこれはやっぱりすごい小説だ。ことばのリズムが直に身体にくるような感覚があって、読んでいるうちに躁的なテンションがうつってくるみたい。とくに後半の章の勢…
80年代の短編集、『パン屋再襲撃』に収録されている作品。台詞はいちいち気のきいた感じだし、展開もまあ予想から外れることのない、わりとリラックスした雰囲気の短編だ。主人公の「僕」は27歳。何年ものあいだ妹と2人暮らしをしていたのだけど、妹はいつの…
8.11 きょうも塾でバイト。サマソニ行ったんだよーって中3男子に話すと、まじっすか!!ってものすごい勢いで食いついてきた。講習中は完全に死んでいる目が、ありえないくらいの輝きを見せていた。夜、家の掃除をする。アレルギーで埃に弱いくせに、いつも…
DVDで。エミール・クストリッツァのこれも、大すきな映画。舞台は1992年、ユーゴ内戦時のボスニアで、セルビア人鉄道技師のおっさんが主人公。兵役に行った息子が捕虜になるのだけど、おっさんは捕虜交換要員として連れてこられたムスリムの若い女の子と恋に…
夢のなかで猫になった人間を、その夢の内側から描いた小説。主人公は猫の身体に人間の思考を持っている、って設定だから、猫を描写した小説というわけじゃなくて、記述の仕方が猫的な小説、とか言った方がたぶん近い感じ。人間の感覚・論理と猫の感覚・論理…
DVDで。とにかくたのしいねこれは!やっぱりこうでなくっちゃ、って言いたくなる要素がいっぱいに押し込まれていて、かなりわらえる、ひたすらおもしろいエンタテインメントに仕上がっている。や、でもちょっと変わった作品なのかな、これは。漢江の川辺で売…
DVDで。キム・ギドク監督の作品を見たのははじめてだったけど、これはすごくよかった!どうにも切なくて、やりきれない感情がぎうぎうに詰まっている映画。援助交際する2人の少女と、ひとりの父親の姿を描いた物語なのだけど、そのタッチはとにかく冷徹だ。…
8.5 曇天。バイトしかしていない一日。きのう歩いた分の筋肉痛がくるかとおもいきや、ぜんぜんなんともない。明日くるのかな。なんか夏って、ただ生きてるだけで消耗するなあ…とか、アイスしか食べたくないな…とか、そういう実のないことばかりかんがえてぐ…
DVDで。6月のノー・スモーキング・オーケストラのライブの興奮をおもい出しつつ、久々に見る。やっぱり、すっげーいい!とにかく音楽が最高だし、人生を全力でたのしんでいる感が画面から滲みだしてくるよう、じつに素晴らしい。ドナウ川のほとりに暮らし、…
池袋HUMAXにて。まだ自分のなかで整理ができていない感が強いのだけど、これはとにかくすごい!おもしろかった!!宮崎駿ってやっぱり偉大だわーって再確認させられた感じ。ジブリ作品を心底からたのしんで見れたのなんて、かなりひさしぶりな気がするけど、…
8.1 おとといから、友人宅にて映画大会を実施していた。映画大会っていうのは、およそ2日間に渡ってひたすら映画を見続けるって耐久レース的イベントで、大学に入った年から、毎年数回ずつ行っている。見た映画をここに羅列してみると、『黒猫・白猫』、『ラ…
早稲田松竹にて。小学生の夏の一日をあまずっぱく描いた映画。すきなタイプの作品だし、おもしろくないとか退屈だっていうわけではないのだけど、『スタンド・バイ・ミー』のすぐ後に見たせいか、映像も音楽も、どうにも説明過多、情緒過多であるようにおも…
早稲田松竹にて。もうほんとよかった!ノスタルジアを刺激しまくる、シンプルかつ最高の作品だよなーと改めておもった。作品そのものが内包している感傷に加えて、小さいころからテレビの金曜ロードショー的なやつで何度も見ている場面の数々も記憶のあちこ…
吉祥寺バウスシアターにて。うん、おもしろい!ほんと、評判通りの映画だったなー。16歳のジュノは、なんとなく気に入っていた男子とセックスして妊娠してしまう。一度は堕胎をおもい立つものの、やっぱり産んで養子に出すことにしようと決心する。ジュノは…
吉祥寺バウスシアターにて。シンプルだけど、雰囲気がしっかり作られたロードムービーで、よかったなー。短大を卒業したものの、就職浪人でフリーター生活を送る鈴子(蒼井優)は、他人と接するのがいまいち得意じゃなくて、いつもどこか居場所がなさそうな…
o-nestにて、TZBとstimのライブ!やー、これはたのしかったなー! ●stim ドラム、パーカス、ベース、キーボード、サックスの5人編成で、ジャズっていうか、もうちょっとジャムバンドっぽいサウンド。曲がとにかくかっこよくてキャッチーだし、来て欲しいとき…
1960年代のアメリカ中西部。先祖からの莫大な遺産を相続した大富豪、エリオット・ローズウォーターが、ありとあらゆる貧しい人々に金をじゃんじゃん分け与えまくる物語。エリオットは博愛主義的な人物って言ったらいいのか、貧しい人たちに同情して、金銭的…
佐藤亜紀のデビュー作。ナチが台頭しつつある二大戦下のヨーロッパを舞台に、オーストリアの没落貴族にしてひとつの肉体を共有する双子、メルヒオールとバルタザールの物語が語られる。肉体はひとつでも、とにかく2人は双子であるので、たとえば二重人格とい…
青山七恵のデビュー作。大学を辞めたまりもは、よく通っていたスナック風喫茶店で住み込みバイトとして働きながら、退屈な日々を送っている。最近の日課は、向かいのアパートに越してきた男の部屋を観察、というか覗き見することなのだけど、特に大した理由…
DVDで。やー、これ、おもしろかったなー!2001年の作品だけど、実写の映像にデジタル・ペインティングを施したふしぎなアニメーション映像はとにかくかっこいいし、いま見てもじゅうぶん新鮮だった。主人公の青年は自分の部屋で何度も目を覚ますのだけれど、…
家を出たのはもう正午を回ったくらいのことで、玄関の扉を開いた途端にむっとくる熱気と、アパートの3階に向けてじりっと照りつける日差しの感じに、うわ、夏来たなー、とおもった。湿気が多くて粘っこい空気は身体じゅうにからまりつくようで、アスファルト…
ジャンクな断片をたくさん寄せ集めて無理やり形にしてしまうような強引さ、無秩序だけど勢いがあるみたいなところがこの作家の特徴かとおもっていたのだけど、今作で語られる3つの物語は、いまままでよりずっとていねいに構築されている。そのために、前2作…
待ちに待ったノー・スモーキング・オーケストラの初来日ライブ!チケットを取ったのがわりと遅かったこともあって、席がアリーナの超右端(まっすぐ見てると、目の前がスピーカー)だったんだけど、ちょっと見にくいとかそんなのはどうでもよくなるくらい、…
DVDで。みんなだいすき、E.B.ホワイト『シャーロットのおくりもの』の映画版。牧場の娘、ファーン(ダコタ・ファニング)に育てられ、すくすくと大きくなったブタのウィルバーだったけれど、ある日、自分がクリスマスの料理にされる運命にあることを知ってし…