勉強に嫌気がさしてしまった医学生のバナヤンは、現代の「成功者」たち――ビル・ゲイツ、スティーブン・スピルバーグ、レディー・ガガ――の伝記や評伝を読みあさる。そうして、彼らが自分と同じくらい若いころに、どんな風に成功の第一歩を踏み出し、これだと…
児童文学の巨匠というイメージのケストナーだけれど、大人向けの作品もいくつか書いている。『消え失せた密画』はそのうちのひとつで、ユーモア溢れる犯罪小説…といっても、残酷なところや邪悪なところが1ミリもない、ほっこりキュートな物語である。 物語の…
物語の舞台はドイツ、キルヒベルクのギムナジウム。正義感の強いマルティン、作家志望のジョニー、喧嘩の強いマティアス、弱虫のウリ―、読書家のゼバスチャンの5人組が主人公だ。クリスマスを目前に控えた彼らの頭のなかは、クリスマス会で上演する劇「飛ぶ…
「日も月も星も依然としてその運行をつづけながら、私にとっては昼もなく夜もなくなり、全世界は身のまわりから姿を没した」というほど、ひとりの美しい少女に夢中になってしまった青年、ウェルテルの「悩み」を描いた物語。少女の名前はロッテ。ふたりは出…
リバタリアニズムについて全面的に同調できるかどうかはともかく、政治的・社会的課題は「お上がなんとかするもの」だとかんがえている日本人からは到底生まれそうにない思想だな、と感じさせられた一冊だった。個人の自由とは、自らの手で守り、勝ち取って…
去年、TOHOシネマズシャンテにて。生物数学者の女(アリシア・ヴィキャンデル)とMI-6の諜報員の男(ジェームズ・マカヴォイ)が、ノルマンディーの海辺にある小さなリゾートホテルで出会う。ふたりはそれぞれ、自らの信念を賭けた大きなミッションを数日後…
昨年末に、岩波ホールにて。ピッピやカッレくんを生み出した、スウェーデンの国民的な児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンの伝記映画。原題は"Unga Astrid"(英題:"Becoming Astrid")なのだけれど、そのタイトルの通り、本作では、彼女が「リンド…
格ゲーの世界チャンピオンであり、日本初のプロゲーマーでもある梅原大吾の自伝的エッセイ。ウメハラにとってゲームとは何か、そこで勝ち続けるためのかんがえ方、生き方とはいったいどんなものであるか、が書かれている。 ウメハラの思考法は、ゲーマーなら…
『WIRED』誌の編集長だったクリス・アンダーソンによる2009年の著作。10年も前の本だけれど、書かれている内容はいまなお進行中のものばかり。アンダーソンの洞察力はすごいな、と感じ入った。 アンダーソンは、20世紀のマーケティング手法にも「フリー」(…
『われらの時代』(原題:”In Our Time”)の出版される前年、1924年にわずか170部だけ刷られたという書物、”in our time”の柴田元幸による全訳。『われらの時代』の各短編の扉部分にある超短編(1ページくらいの小品)のみを18章集めたものが一冊になってい…
楠木は、昨今のビジネス書は「スキル」を追求することに傾斜しているが、戦略そのものを作成し、商売を組み立てていく経営者の仕事に必要なのは、「スキル」ではなく、「センス」だと言う。楠木によれば、「センス」とは、「文脈に埋め込まれた、その人に固…
サブスクリプション・モデルがどのように産業を変化させているか、そして、サブスクリプション・モデルをどのようにして企業に適用していくべきか、について具体的な方策が語られている一冊。かなりよくまとまっていて、サブスクリプション・ビジネスの現状…
さんざん話題になった本書だけれど、たしかに非常に明快で、「人間とは全体としてこういうものだ」ということが腹落ちするようになっているところがよかった。大きな枠組みで体系的に語っていながらも、しっかりとしたストーリー性を持ち合わせているから理…
心理学、神経科学、医学などの分野から、自己コントロールにまつわる知見を解説し、自分の「意志力」を強化するためのさまざまな方法を紹介している一冊。紹介されているアイデアとしては、 * 定期的な瞑想を行う(5〜15分) * 定期的な運動を行う(5分〜) …
詩人の文月悠光によるエッセイ集。タイトルにある「洗礼」というのは、「社会に入るために経験しなければならないこと」とされているような物事、通過儀礼のようなものだと言ってもいいだろう。幼いころからちょっと「人とズレて」いたという文月は、学校で…