東京地裁、最高裁の元裁判官であり法学者である著者による、リベラルアーツ指南本。世のなかに大量に流布しているリベラルアーツ本、教養本の書き手たちと同様、瀬木も、実践的な意味における生きた教養としてのリベラルアーツを学ぶことの意味は、いまなお…
ピーター・ティールがスタンフォード大学の学生向けに行った「起業論」の講義をベースに書かれた一冊。ティールは、自身が採用面接を行う際、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と質問するという。なかなか難しい質問だが、これに対…
新反動主義(暗黒啓蒙)と呼ばれる、なんともキナ臭い思想的ムーブメントの概要と、それが形成されるに至った流れについてまとめられた一冊。ペイパル共同創業者のピーター・ティール、Tlon経営者のカーティス・ヤーヴィン、哲学者のニック・ランドという三…
本書の主張はシンプルだ。「知識・教養などといった他人の考えに依存することなく、自分の頭で考えろ!」ということだ。外山はいままでの自身の人生経験から、知識偏重の日本の教育はダメだし、日本の文系の学問も同様だ(海外の論文をパクって組み合わせて…
『浴室』の物語は、ある日突然、主人公の青年が浴室に引きこもってしまう、というところからはじまる。なるほど、胎内回帰願望のメタファーとしての浴室、とかそういう感じなのかな、などとおもって読み進めていくと、数ページ後には彼はあっさりと浴室を出…
ヘミングウェイの長編。1930年代のスペイン内戦を舞台に、共和国側の義勇兵としてゲリラ部隊を率いるアメリカ人、ロバート・ジョーダンの4日間を描く。ジョーダンの任務はグアダラマ山脈にある橋の爆破だけれど、頼りにできるのは10名にも満たない地元のスペ…
主人公の男は、昆虫採集のために休暇をとって人里離れた砂丘に向かう。そこには砂に埋もれかけた小さな村があり、男は一夜の宿を求めてある家を訪れる。家には女がひとり暮らしているのだが、なにしろそこは砂穴の底に位置する家、放っておけばたちまち砂に…
カイゼン思考、戦略思考、デザイン思考に次ぐ、「ビジョン思考」なるものを提唱する一冊。佐宗によれば、「ビジョン思考」とは、個人の関心、妄想といった内発的動機からスタートして創造性をドライブし、直感と論理とを結びつけるような思考法、であるらし…
2000年のニューヨーク。若くして投資会社を経営する主人公は、自分の周りにあるすべてにリアリティを感じられないでいる。莫大な資産、鍛え上げた肉体、株式の動きを見抜く才能、特殊改造されたハイテクの豪華リムジン、優秀な部下、ボディーガード、専属の…
立花隆が週刊文春に連載していた「私の読書日記」(1995年〜2001年分)をまとめた一冊。序章で読書術&速読術について軽く言及されたあとは、ひたすら300冊あまりの「面白い本・ダメな本」の紹介が書かれていく、という構成になっている。 特徴的なのは、こ…
丸谷才一による海外文学の書評集。書評というと基本的には新刊が対象になるものだけれど、そこは大ベテランの丸谷才一、1960年代から2001年までという長いスパンのあいだに書かれた書評600編ほどのなかから116編が選ばれ、収められている。結果として本書は…
恵比寿ガーデンシネマにて。舞台は1959年、イングランドはロンドンから遠く離れた小さな海辺の町。若くして夫を戦争で亡くしたフローレンスは、町にまだ一軒もない本屋を開こうと決める。いつか本屋をやる、というのは読書好きの夫との夢だったのだ。空き家…
本屋でぱらぱらとページをめくっていると、以前のエントリでも書いた、小林康夫と大澤真幸による「全集を読め」という話が取り上げられているのが目に入って、おもわず買ってしまった一冊。古書店の店主である山本と、その常連客である清水との対談本だ。 社…
パラニュークの96年作。デヴィッド・フィンチャーの映画の方はだいぶ以前に見たけれど、最近いくつか読んでいたミニマリズム関連の本で本書がたびたび引用されていることもあり、原作も読んでみることにした。エリートビジネスマンの主人公は「完全で完璧な…
仕事のみにとどまらず、人生全般(お金、健康、家事、人間関係、遊び)について、超コントロール思考であれ、と説いている一冊。もちろん、人間は他人や世界を操作できるわけではないので、自分自身の思考やふるまい、所属や環境、誰と付き合うか、といった…